世界中から多くのバイヤーが集まるサンタバルバラにおいても特級区とも言えるセドラル村からホセさんのコーヒーです。
セドラル村の設立者での一人でもあるホセさんが若く、この土地に来たばかりの頃は、住んでる人もほとんど無く、たくさんの土地を安値で買うことができました。彼はその土地にコーンや豆、野菜を育てることにしましたが、数年後、その権利を失い、ほとんどの資産を失いました。
25年前、ホセさんは小さな土地にコーヒーを植え始めました。最初の数年の収穫は、コンベンショナルコーヒーとして販売したにも関わらず、彼にとって良い収入となりましたが、その頃彼の息子のうち二人が精神的な病を患い始めました。ホセさんは医者を探し、農園の多くを手放さないといけない状況(1ヘクタールの土地を残すのみ、現在の彼の農園)になるまで専門的で高額な治療を施しましたが、回復には至りませんでした。その後も最低限安定した状態を保つための治療のために支払いを続けました。
そして8年前、彼の甥達がスペシャルティマーケットへの参入を勧めました。ホセさんのコーヒーには既にヨーロッパの買い手が付いていましたが、彼は決断し、甥達はスペシャルティコーヒーとしての精選のプロセスを教え今に至ります。
悲しいことですが、2021年、ホセさんは複合的な健康上の問題で亡くなりました。セドラル村のコミュニティの創設者の一人として皆の記憶に留められています。
現在農園は彼の息子の Bernardo(ベルナルド)さんが受け継ぎ、ホセさんの遺産を守り続けるべく農園での仕事に励んでいます。
2022年5月、3年ぶりとなったサンタバルバラ訪問の際、ベルナルドさんと彼の兄弟に会うことができました。変わらず素晴らしい品質に驚いたと共に今年も買い付けることができ大変喜ばしい思いです。ブルーベリーやカシスなどの生き生きとした酸を伴った果実感とともに、蜂蜜やブラウンシュガーのような甘さと質感、後味では煎茶を思わせる滋味深い風味も感じられ、立体感のある味わいが続きます。
農園名:El Barracon(エル バラコン)
生産者:Jose de La Cruz Moreno(ホセ・デ・ラ・クルス モレノ)
生産国:Honduras(ホンジュラス)
地域:El Cedral, Las Vegas, Santa Barbara(サンタバルバラ、ラスベガス、エルセドラル村)
品種:Pacas(パカス)
標高:1,580m
生産処理方法:Fully Washed(水洗式)
ローストレベル:The Middle(中煎り)
フレーバープロファイル:Blueberry, Black currant, Melon, Green tea, Honey, Brown sugar, Tartaric, Well balanced, Long aftertaste
“The Middle” はこれまでリリースしていた“Roasty” の後継となります。コーヒーカウンティのメインのロースト(浅煎り)よりも若干深めのローストです。
浅煎りではそれぞれの豆特有のフレーバーやアシディティを最大限に引き出すことを主題にしており、ローストによる焦げた風味は極力与えないことを目指しています。
一方、“The Middle” ではフレーバー、アシディティ、甘さ、マウスフィールといた味わいの要素を満遍なく引き出した “中煎り” で、正に “真ん中の味わい” を目指したものです。