ニカラグアのコーヒーの取り扱いは決して多くはありませんが、当店の始まりであり、最も大事な生産国の一つと言えます。その取り扱いの殆どは開業前に農園滞在でお世話になり、その後もほぼ毎年訪ねてきたセルヒオさんの3つの農園のコーヒーですが、本ロットは 2023年の Cup of Excellence にて落札し、昨年それを機に買い付けに訪ねた ハイロさんのプログレソ農園です。
このプログレソ農園は、セルヒオさんのエンバハーダ農園と同じく、ニカラグア屈指の標高とポテンシャルを誇るヌエヴァセゴヴィア県、モソンテに位置します。栽培品種はとても興味深いプロファイルを持つ H3(エチオピア在来種×カトゥーラ種)です。
この H3 品種は、H1(セントロアメリカーノ)等と同様に耐病性や生産性、気候変動に対応するなどの目的で開発されていった品種の一つで、上記の観点からすると高く評価されたものではありませんでしたが、その風味特性は素晴らしいものがあります。
2024年の4月にプログレソ農園を訪ねました。モソンテの山肌、高低差100m 程の斜面にある開けた環境の農園で、山の谷間にある森が鬱蒼としたエンバハーダ農園とはタイプの異なる環境でした。約7ヘクタールの農園のうち、栽培されている木の多くは H3 品種で、太陽がしっかりと降り注ぐ環境の中健やかに育っていました。他にもBourbon や Caturra, Geisha も少量植えられていましたが、COE へ出品したロットが H3 だったように農園主のハイロさんに聞くとやはり H3 がこの農園のトップロットで自信を持っていると話してくれました。
ジャスミンのようなフローラルなアロマにはじまり、マイヤーレモン、白桃を感じさせる果実味に、可愛らしい酸はクランベリーのよう。マカダミアナッツのようなクリーミーで滑らかな質感とブラウンシュガーの甘さが続きます。H3種の特性とニカラグアのテロワールがどちらも綺麗に液体に表れた、気品のあるコーヒーをお楽しみ下さい。
生産者 : Jairo Omar González(ハイロ・オマール・ゴンサレス)
農園名 : El Progreso(プログレソ)
生産国 : Nicaragua(ニカラグア)
地域 : Mozonte, Nueva Segovia(ヌエヴァセゴヴィア、モソンテ)
標高 : 1,600~1,700m
品種 : H3(エチオピア在来種×カトゥーラ種)
生産処理方法 : Fully washed(水洗式)
ローストレベル:Light roast(浅煎り)
フレーバープロファイル:Jasmine, Cranberry, Meyer Lemon, White Peach, Macadamia Nut, Brown Sugar, Smooth Mouthfeel, Sophisticated